非常事態と緊急事態の違いは?

新型コロナウイルスの流行で、北海道では「緊急事態宣言」が出されました。世界保健機関(WHO)については、「緊急事態を宣言」と報道されました。一方、少し前のオーストラリアの森林火災の際には、オーストラリアで「非常事態宣言」と報道されました。非常事態と緊急事態って違うの?

非常事態と緊急事態の違い

結論から言うと、日本の法律での、旧法上の呼び方か、現行法上の呼び方かの違い。

日本の旧警察法では「非常事態」を使っていましたが、1954年(昭和29年)の警察法改正で、「緊急事態」と改称しました。

国家非常事態

大規模な災害や騒乱によって社会の治安が乱れ、国家の存立が危うくなるおそれのある状態。政府の責任者がその旨を布告したとき、その布告を非常事態宣言という。日本では、昭和二九年(一九五四)の警察法改正以後、緊急事態と改称。-精選版 日本国語大辞典

戦争・内乱・特別な災害などで、国家の存立にかかわるほどに社会の公安・秩序が乱れたり、またはそのおそれがある状態。旧警察法上の用語で、現行警察法では緊急事態と改称された。-デジタル大辞泉

出典:コトバンク

つまり、非常事態と緊急事態は、意味は同じです。現在日本の法律上では、「緊急事態」といいます。

現行の警察法に出てくる緊急事態の例は次の通り。警察法では、緊急事態という言葉は繰り返し出てきますが、非常事態という言葉は使われていません。

第七十一条 内閣総理大臣は、大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるときは、国家公安委員会の勧告に基き、全国又は一部の区域について緊急事態の布告を発することができる。

出典:e-gov

2020年2月28日に、北海道知事が道民に宣言したのも、「緊急事態宣言」でした。

では、英語では何か違いがあるのでしょうか。

報道されたオーストラリアの宣言とWHOの宣言の原語を見てみます。

  • WHO:Public Health Emergency of International Concern (PHEIC)
  • オーストラリアの宣言:State of Emergency

I am declaring a public health emergency of international concern over the global outbreak of novel coronavirus. -WHO事務局長

The ACT has been declared a State of Emergency-オーストラリアン紙

英語的には、どちらも「emergency」が使われています。

北海道のケースの英語の報道はどうでしょうか。

Japan’s Hokkaido island — where Olympic marathons are due to take place this summer — declared a state of emergency…. -ワシントンポスト

Hokkaido’s governor declared a state of emergency on February 28…-ビジネスインサイダーUK

同じように「state of emergency」という言葉が使われています。

というわけで、政府が宣言する非常事態は、英語で「state of emergency」。非常事態を宣言するは、「declare a state of emergency」。

まとめ

非常事態と緊急事態は、同じ意味。日本の現行法では「緊急事態」と使い、旧法では「非常事態」という表現を使っていた。

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