空気感染とエアロゾル感染の違いはあるの?

エアロゾルっていったい何なのでしょう。空気感染とエアロゾル感染は違うのでしょうか?一般的な報道では、あいまいでよくわからなかったので、厚生労働省や専門家、CDCなどがどういっているのか、調べてみました。

空気感染とエアロゾル感染の意味

結論から言うと、日本の厚労省や専門家の見解では、基本的に空気感染とエアロゾル感染を別ものとしています。

空気感染とエアロゾル感染が違うかどうかは、空気感染をどう定義するかによります。

厚労省の「医療施設等における感染対策ガイドライン」によると、空気感染とは、

空気感染
病原体を含む小さな粒子(5ミクロン以下の飛沫核)が拡散され、これを吸い込むことによる感染経路を指す。飛沫核は空気中に浮遊するため、この除去には特殊な換気(陰圧室等)もしくはフィルターが必要になる。

ということは、空気感染とは、空気中に漂う病原体入りの飛沫核が感染源とする感染。

「飛沫核」という言葉が出てきました。

飛沫と飛沫核は、どう違うのでしょう。

同じ資料内に、書いてあります。

飛沫感染
病原体を含んだ大きな粒子(5ミクロンより大きい飛沫)が飛散し、他の人の鼻や口の粘膜あるいは結膜に接触することにより発生する。飛沫は咳・くしゃみ・会話等により生じ、また医療現場においては気管内吸引や気管支鏡検査等の手技に伴い発生する。飛沫は空気中を漂わず、空気中で短距離(1~2 メートル)しか到達しない。

飛沫と飛沫核の違いは、大きさです。

  • 飛沫:5ミクロンより大きい
  • 飛沫核:5ミクロン以下

同じ資料の中に、エアロゾルの言葉もあります。

エアロゾル(水分を含んだ微細な粒子)

飛沫核とエアロゾルの違いにつての言及は特にありませんが、飛沫核とは別の意味で扱っていると考えられます。

飛沫核の意味をもう少し分かりやすく説明しているものを探してみました。

空気中に飛散した微粒子の中で比較的大きくずいぶんを含んだものを飛沫と言い、比較的いい歳費末から水分が蒸発し、軽くて非常に細かい粒子を飛沫核といいます

出典:med.osaka-u.ac.jp

ということは、水分のあるなしが、飛沫核とエアロゾルの違いと言えるでしょうか。

ちなみに、この資料のインフルエンザ(H5N1)の感染経路というところには、エアロゾルによる空気感染の可能性という言葉が出てきて、これだとエアロゾルが空気感染ということになって混乱します。

先ほどの図解のエアロゾルの部分を拡大すると、エアロゾルの概念の中に飛沫核が含まれることがわかります。エアロゾルの概念の方が大きいということになります。また、飛沫ーエアロゾルー飛沫核という区分はないそうです。

日本エアロゾル学会によるエアロゾルの説明は次の通り。

気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾル(aerosol)といいます。エアロゾルは,その生成過程の違いから粉じん(dust)とかフューム(fume),ミスト(mist),ばいじん (smokedust) などと呼ばれ,また気象学的には,視程や色の違いなどから,霧(fog),もや(mist),煙霧 (haze),スモッグ(smog)などと呼ばれることもあります。エアロゾル粒子の性状は,粒径や化学組成,形状,光学的・電気的特性など多くの因子によって表され,きわめて複雑です。その上,例えば粒径についていえば,分子やイオンとほぼ等しい0.001μm=1nm程度から花粉のような100μm程度まで約5桁にわたる広い範囲が対象となり,また個数濃度についても,清浄空気の10個/cm3程度から発生源近傍の10の6乗~10の乗10個/cm3程度まで 7~8 桁にもわたり,さらに最近の超クリーンルームにおいては10-5個/cm3程度まで要求されるようになっています。

2020年2月に、中国保健部が、新型コロナウイルスのエアロゾル感染の可能性を発表しましたが、この時厚労省では、空気感染とエアロゾル感染は別物、エアロゾル感染は、飛沫感染の一種という見解でした。

その時、筆者は厚労省のQ&Aページで、エアロゾル感染は飛沫感染の一種、とした表示を見ましたが、2020/3/14現在ではその表示はなくなっています。

混乱の原因は、エアロゾルとは空気中を漂うものであるから、これは空気感染ではないのかという点です。

エアロゾルという言葉は、そもそも飛沫核という言葉とは出自や概念が違うから、多くの専門家にとって、説明する必要が感じられないのかもしれません。

とはいえ、素人には混乱します。空気感染とエアロゾル感染を、厚労省としてはどのような意味で使うのかについて、世界的な定義の合意がなかったとしても、「ここでは、こういう意味です」という言い方でいいから、ぜひ明記してほしいです。

では次に、英語ではどう表しているのでしょうか。

CDC(アメリカ疾病対策センター)の例を見てみます。

  • 空気感染:airborne transmission
  • エアロゾル感染:aerosol transmission
  • 飛沫核:droplet nuclei

この資料では、厳密な意味での空気感染とは、病人がいる室内を超えて空気感染するかどうかです。エアロゾル化した飛沫を吸い込んでの感染が病室内などの近距離で発生することがある、や、環境中の汚染したものからエアロゾル化する、とエアロゾルが出てきます。

NHI(米国国立衛生研究所)の峰先生は、エアロゾルを飛沫とほぼ同じで空気感染とは違うと説明しています。

まとめ

空気感染とエアロゾル感染は、厚労省やCDCでは別物という見解である。空気感染という場合、患者の病室内などのごく近い距離を超えて、空気中に飛沫核が浮遊する場合を指す。エアロゾル感染は、空中の微粒子を吸い込むという意味では空気感染の一種ともいえるが、いわゆる空気感染ではないとするのが、厚労省やCDCの分類である。

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