日常生活で「もちろん」という言葉はよく聞きますが、「むろん」という言葉は、書き言葉に使われている印象です。意味は、似ているように感じるのですが。どんなふうに違うのでしょう。
「もちろん」と「むろん」の意味
結論から言うと、現代の日本語において、もちろんとむろんは、同じ意味でした。
国語辞典でそれぞれの意味を調べると次の通り。
「もちろん」
デジタル大辞泉によると、もちろんとは、
論じる必要のないほど、はっきりしているさま。言うまでもなく。無論。
漢字で書くと「勿論」。
「むろん」
同じく、デジタル大辞泉によると、もちろんとは、
論じる必要のないほどはっきりしているさま。言うまでもなく。もちろん。
漢字で書くと「無論」。
というわけで、意味はまったく同じでした。
「もちろん」と「むろん」の違い
意味が同じでも、日本語ネイティブにしてみれば、ニュアンスが違いますね。
「もちろん」のほうが、身近な表現で、「むろん」のほうが、硬い表現に感じます。よって「むろん」のほうが、同じ意味でも、強調されていると感じる表現です。
また、日常会話においても、「もちろん!」とひとことで返すことはよくありますが、「むろん!」と返すことは、ほぼないでしょう。「むろんです」だったらあるかな。
というわけで、違いは、ニュアンス、と言えるでしょう。
まとめ
「もちろん」と「むろん」は、同じ意味の言葉で、違いはそのニュアンスである。
おまけ
もちろんを漢字で書くと勿論で、この語源について、「論ずること勿れ」という禁止表現からと説明されることがありますが、こちらの研究によると、現代のもちろんと同じ用例がみられるのは、中世(13世紀ごろ)からということです。